「……変なこと? ……どうぞ」

 少しばかり警戒しながら、浩太郎はカップを置く。長時間話していたためか、中身は冷めているみたいだ。

「中和したら、どう?」

 これは私としては胸躍る提案だった。
 一人の乙女(にしては年齢が高すぎではあるかな?)としては、夢見るもの。
 浩太郎の「裏の面」を見た夜に、一人で考えていたこと。

 突然私が出した言葉に、彼は首を傾げた。

「どの薬品を?」

 とっさの反応に、私は吹き出した。
 どうして今の話の流れで、実験の話になるの!?
 そういう真面目なところが、浩太郎の味ではあるんだけれど。

「研究のことじゃないよ。浩太郎の性格を、だよ」
「僕の性格を中和する……?」