どうして自分がここにいるのか?
 一体今は何時なのか?
 腕時計を確認する。もう夜の……11時?
 こんな遅い時間に、女の子と研究室で2人きりという事実を認識すると、なんだか気がそわそわしてきた。
 早くこの子を家に帰してあげないといけない。

『道川さん、なんでこんな遅い時間に、僕とここにいるんですか……? 早く帰らないといけないですよ』
『今夜は帰らなくても、平気です』
『な、何……!?』

 大胆な道川佐央里の言葉に、浩太郎は慌てて飛び上がった。そして彼女と距離を置く。
 近くにあった本棚の後ろに隠れるかのような勢いで。

『どうしたんですか、結城さん?』

 色っぽい流し目で見つめる後輩。
 そのあとのやりとりは、ざっとこんな感じだったらしい。