「……今回、一体僕は何をしでかしたんですか……? 教えて下さい!」

 またもや畳の上で土下座しかねない勢いで懇願する浩太郎。
“今回”の一語にちょっと引っかかったけれど。
 ひとまず私は先日の出来事をかなり詳細に語ってみせる。

「……なんてことを言ったりして、めっちゃチャラ男っぽかったんだよ!」
「恥ずかしい! 恥ずかしすぎる!」

 浩太郎はそう叫んで、顔に両手を当てて座卓に突っ伏する。

……この人、かなり面白いんですけど!

 内心はそう思っていたが、本人はいたって真剣・深刻なのでそこには触れない。

「たかがチョコレートに入っているブランデーでもダメなんですね、僕ったら……」

 突っ伏したまま浩太郎は嘆く。

「でも結構顎クイ良かったよ? 流行に乗っかってる感じがして」
「ダメ、ダメ! 僕なんかがそんな仕草する権利ありません!」
「壁ドンも今度はやってくれるかな~」
「からかわないで下さい!」

 ぶんぶんと首を左右に振る。
……真面目キャラ崩壊!?
 いや、すでにお酒のせいで崩壊してたけど!

「まさかお酒が入ったときにそんなことしてるなんて、ひばりちゃんには知られたくなかったです……」
「ねえ、自分が呑んだときそうなるっていうのは、すでに誰かから聞いてた?」

 その問いに、顔を上げてこくりと頷く。

「大学の研究室の先輩に、それとなく教えてもらっていました」