「酔っていた時の記憶は……」

 うつむく浩太郎。
 あ、嫌な予感。

「ごめん、全くない!」

 あちゃー。やっぱりそうでしたか……。
 ということは、酔っている間に誰に何を言ったか、覚えていないわけで。

「何となくいい気分だったような、気はしているけど……」
「それはないよ……あんなことやこんなことをしておいて!」

 冗談のつもりで言ったのだが、もちろん浩太郎には冗談は通じない。

「え! 僕、ひばりちゃんに、まさか……」
 浩太郎の動きが止まる。

「大丈夫。かろうじて私たちのファーストキスは守ったから」

 思いっきり悲しむ演技をしてみようかとも思ったのだが、浩太郎の反応が私のツボに入りすぎていて、結果的にニヤニヤしながらの告白になってしまった。
 まあ、これは事実だし?