私は決めた。
 浩太郎に、思いっきり甘えちゃおう!と。
 彼の耳元に思い切って口を近づけ、
「こんな浩太郎も、好き」
とささやいてみた。
 浩太郎は(絶対に普段は見せないが)自信ありげに、口の端をつり上げた笑みを見せる。
「俺もだよ、可愛い俺のお姫様」

 キュン。
 お姫様、とはっきり口に出されて、ますます心臓が激しく運動しだす。
 もうなんだか、少女ゲームでもやっているみたいで、現実感がなく、ふわふわしっぱなしだ。

「甘いドルチェより、君の唇が味わいたいな」

 く、唇!?

 浩太郎は私の返事を待たずに、ぐいっと私の顎を持ち上げた。

 浩太郎とのファーストキス。
 大事な大事な、カップルとしての最初のキス。

 それが酔っているときって……!?