慌てて私は浩太郎の顎クイから逃れ、乱雑に破り開いた包み紙の中から、お品書きを取りだした。

 浩太郎が食べたのは、黒っぽいチョコ。

「ああ、やっぱり……」

 お品書きによると、浩太郎が食べたチョコレートにも微量だがブランデーが混じっていたらしい。「微量」だというのに、目の前には。

「ひばり、俺を見てよ」

 流し目でこちらを見つめる、酔いに酔った浩太郎。

「前に浩太郎が言ってた失敗って、こういうことだったのね……」
「失敗? そうさ、僕の失敗は、君と恋に落ちたこと。こんなに我を忘れて君に夢中になってしまうんだからね」
「と、とりあえず水飲んで!」

 そこでやっと食後のドルチェがやってきたのだが、それどころではなかった。

「こんな俺は、嫌?」
 真剣な目で尋ねる浩太郎。
 少し、うろたえてしまった。
 嫌かと言われると……嫌ではない。むしろ普段と違う浩太郎にときめいてさえいる。