「よろしく……お願いします……」

その母親の影から顔を出した女の子。

それがサクラだった。

見るからに臆病で口数も少なそうな女の子だ。

ずっと母親の服を掴んでいる。

その小さな手で、何かにすがっているみたい。

必死に、必死に。

だから俺は、初対面のサクラの手を引っ張った。

母親の後ろから引き離したんだ。

「俺はヒロキだ。これからよろしくな、サクラ!」

そうだ。

間違いない。

俺は新しい友達ができることが嬉しかったんだ。

「う……ん」

驚いていた。

でも同時に、気恥ずかしいと頬を染めていた。

「うん!」

自分の意思を確かめるみたいに大きな声を出したサクラ。

目を細めて笑ってる。

輝いていた。

俺はすでに、彼女の笑顔に魅入られていたんだ。