小さなその手を握る。

大切に、大事に、俺はその手が壊れないように、そっと力を込めて走り出した。

元々運動が得意でないサクラ。

ものの数分でもう息が上がっている。

「無理! 無理!」

「口を開く余裕があるなら走れ!」

校門に立つのは体育の前田。

頑固者で、頭がちょっと寂しいかなりの強敵。

負けるわけにはいかないと足を動かした。

「閉めるぞー」

前田がそう言った直後、なんとか学校に到着。

強引に引っ張って校門をくぐる。

ほぼ同時にチャイムが響いた。

隣のサクラは虫の息だったが、ここで止まっているわけにもいかない。

合掌。

実際、かなり手加減はしたつもりだったのだが……。