誰もいない。

誰もいない。

Oh year.

「今何時だ」

「今? えっとね……」

もたつきながら携帯を開いて苦笑い。

「8時37分かなぁ……」

8時45分に校門を抜けなければ遅刻。

髪の毛を整えていたせいで、まず歩く速度落ちていたのだ。

これも日常の一部だからヒドいカップルだ。

気を配り忘れた俺も悪いとは思う。

「痛いっ!」

でもとりあえず反省させるためにゲンコツをくれてやった。

「さすがに毎日は疲れる」

「ごめんなさ~い……」

「こんなことやってる場合じゃない。

走るぞ!」

「う、うん!」