「髪の毛髪の毛」

いいタイムだったのだが、相変わらずボサボサ頭だった。

「ヒロちゃんよろしくね」

クシを渡される。

いつものことだと諦めた。

それに、こういうのも嫌いじゃない。

「んじゃ前歩けな」

「よろしくお願いします」

その嬉しそうな笑顔だけで俺は満たされた。

二人でサクラの家を出る。

目の前には俺の家がある。

まぁそういう間柄でもあった。

学校まで続く住宅街。

この辺りは、コンビニくらいしか店がない。

欲しいモノがあれば駅を挟んだ向こう側まで行く。

そんな殺風景な所。

でも、二人でいるとそれ以上を望まないのも不思議な話だ。