俺も強く抱き締める。

そっと、壊れないように。

ぎゅっと、愛おしむように。

「お前を、異性として見たままでも、隣にいてもいのかな?」

小さな体が身じろぎする。

そして大きな目が俺を射抜いた。

「いいよ」

彼女の中にある唯一の答えだったのかもしれない。

「隣にいないヒロちゃんなんかやだよ」

一滴、二滴。

サクラの頬は濡れてゆく。

俺は抱擁を解いた。

残念そうなサクラの肩に手を乗せる。

サクラは目を閉じて、背伸びをした。

体も心も離れていたはずなのに、いつしかその距離は、0になった。