「ごめんな」

抑えきれなかった。

衝動も、涙も、なにもかもが、俺を覆い尽くす。

「え、ちょ」

俺はサクラを抱き締めた。

「全部に、ごめん」

いきなりで戸惑ったはずのサクラは、俺の背中に腕を回す。

「いいよ。何があったの?」

「中学校に入ってから、サクラを昔と同じに見れなくなってた。

あんなに一緒にいたのに、俺はサクラを異性としか思えなくなった。

情けなくて、サクラに嫌われるって思って……」

間違いなく泣いている。

嗚咽は殺しても、想いが形になって流れ出していた。

「誰だって同じだよ。

男か女かの違いしかない。

私だってヒロちゃんを男として意識してる。

……ドキドキしてる」

背中に回された腕に力がこもる。