部活をやめてから時間ができた。

どんどんと自堕落になることを自覚する。

しかし、毎日のトレーニングだけは続けた。

なぜだろう。

ふと、サクラの笑顔を思い出した。

ランニングの足を止めて、丘の上の公園から街を見下ろした。

夜の街はキレイに彩られている。

「サクラか……」

俺がなんのためにトレーニングを続けたのか。

バスケ部は、その時バスケットがやりたかったから。

でもトレーニングは……。

「ヒロちゃん?」

聞き慣れながらも過去に置いてきた声。

後ろを振り向いた。

「サ……クラ」

久しぶりにキチンと彼女の姿を見た気がする。

「どうしたの?」

「え?」

ゆっくり距離を縮め、俺の隣に並ぶ。

手すりに体重をかけたのか、かすかに手すりがきしんだ。