あーあ。こんなんじゃ、授業出られないなぁ。




愛依が好きにしてと言った直後、女子達から私に水をかけられたり地面に叩きつけられたりされた。
幸い、血は出なかったけど制服も体もボロボロで足も痛めているから歩けない。
こんな所、誰か来るわけないし。



そうだ。携帯で誰かに電話して助け求めようかな。
でも、誰に?桐ヶ谷くん?
嫌だ。こんな姿見られたくない。
それにこれ以上、桐ヶ谷くんと関わったら……。






「どうした!?」





遠のきそうな意識の中、男の声が聞こえた。




この声は桐ヶ谷くん?




「おい、綾瀬!何があったんだよ!」




「き……が……くん……」





上手く声が出ない。




何とか大丈夫だって伝えないと。
桐ヶ谷くんは心配しなくて良いよって言いたいのに。





「とにかく病院に行くぞ!」




「だ……め……」





関わっちゃいけないって、愛依が悪い子になっちゃうから離れなきゃって思うのに、桐ヶ谷くんの背中につい身を預けてしまった。





桐ヶ谷くんが悪いんだからね。貴方の背中がこんなにも暖かくて、心地いいから。
こんなにも、安心しちゃうんだもん。