思わず声を漏らしちゃったけど、あまり痛みを感じない。
体よりも、心が痛い。




「後夜祭で愛依が桐ヶ谷くんに告白しようとしていたこと、知っているよね?それを知った上で連れ出したわけ? 最低じゃない?」




私の髪の毛を掴んでいた女子が、吐き捨てるように言った。





「友達だと思っていたのに、酷いよ」





女子数人の中心にいる愛依が涙ぐんだ。




誰にも見られてないから、大丈夫なんて思っちゃった。
そういうことじゃないのに。




「協力してくれるって言ったのに」




「……」




涙ながらに睨みを利かせる愛依に、何も言えない。




愛依が泣くのも無理ないよね。
私だって、桐ヶ谷くんと愛依が仲良くしているの嫌だったもん。
されて嫌だったことと、同じことをしちゃったんだ。





「光凛。私、幻滅した」





さっきまで泣いていたはずの愛依が、私を悪魔のような形相で睨んだ。
今まで見たことのない愛依の表情に、思わず怯える。





「ねぇ、愛依。前からこいつ気に入らなかったからさぁ。私らの好きにやって良い?」






女子の一人が、愛依にニヤニヤしながら聞いた。




嫌な予感がする。







「良いよ。好きにして」