「……」



「……」




あの、なんか喋ってくれません?
病院出てからずっと無言なんだけど。
なんか気まずい。





「さっきの奴のこと、知りたい?」




「え?」





沈黙を破ったのは、桐ヶ谷くんだった。





さっきのことって、きっとさっきの男の人のことだよね。
でも、良いのかな。桐ヶ谷くんの家庭の事情をむやみに聞くのは違うと思う。
だけど、知りたい気持ちもある。




「別に気遣うなよ。人に家庭の事情話すことに、抵抗とかねぇから」




「そ、そう」





まるで心の中を読まれた気分だ。
何で、そんな全部分かるのよ。





「で、さっきの奴のことだけど。あれ、俺の親父」





やっぱり。




でも、どうしてあんなに普通の会話が重い雰囲気だったんだろう。




「で、あの病院の院長」




「え!?」