桐ヶ谷くんの姿を見た瞬間、厳しい顔をする渋い声の男の人。




さっきまで優しい感じだったのに。





「ただの風邪だよ。念のため検査しただけ」





「珍しいな。お前が風邪で病院に来るなんて」





恐らく親子なんだろうけど、なんか親子って感じじゃない。
二人とも顔怖いし、気まずい雰囲気が流れている。




「別に、そんなこともないけど。行くぞ、綾瀬」




「え、う、うん!」





突然声をかけられ驚きながらも、すたすた歩いて行く桐ヶ谷くんに着いて行った。




すれ違いざまに、渋い声の男の人に軽く頭を下げて。