遠くの方で、女の人の声が聞こえた。




桐ヶ谷って名前に反応しちゃったけど、桐ヶ谷くんのことを呼んでいるわけじゃないよね。
桐ヶ谷くん、先生じゃないし。




「あぁ。そういえばレントゲン取ったんだったな。結果は?」





その女性の声に答えるように、今度は渋い男の人の声が聞こえた。
この場所で先生って、確実にお医者さんだよね。
でも、桐ヶ谷なんて医者いたんだ。





「え……」




何となく気になって声のした方を向いた。




ビックリした。その渋い声の男の人が、桐ヶ谷くんそっくりだったから。
桐ヶ谷くんが歳を取ったらきっとこうなるんだろうなってくらい、本当にそっくり。




もしかして、桐ヶ谷くんのお父さん?




「はい。それがあまり良くなくて」





女性が男の人に写真のようなものと、書類を渡していた。




男の人が渡された写真と書類を見比べているとき、診察室のドアが開いた。









「叶斗、お前何でここにいるんだ?」