ぼ、坊ちゃまって言ったよね?





「その呼び方やめろよ。実は風邪引いて熱出してさ。念のため検査受けとこうと思って」




「えぇ!?だ、大丈夫なんですか!?」





あ、あのたかが熱でそこまで心配する?





周りを見渡してみると、他の看護師さんも心配そうに桐ヶ谷くんを見つめている。一患者をここまで心配するとは思えない。





桐ヶ谷くんって、この病院にとって一体何?




「大したことねぇよ。それよりどこ行きゃ良い?」




「で、でしたら五階の第一診察室へどうぞ!」





「サンキュ」




エレベーターに向かった桐ヶ谷くんを慌てて追いかけた。
未だ状況が掴めない。





相変わらず桐ヶ谷くんは慣れた感じでエレベーター乗り場へ向かう。





かかりつけの病院、ってわけでもなさそうだし。





「何だよ。さっきから、人のことじろじろ見て」




「え、いや……」