翌日から、早速文化祭の準備が始まった。




学校に行くまで、愛依と桐ヶ谷くんがカップルの幽霊の役の練習をしている所を見たくなくて、凄く憂鬱だった。




でも、二人は一緒にいなかった。




それに、何故か愛依の彼氏の幽霊役はクラスの他の男子だった。




桐ヶ谷くん、断ったのかな?




愛依は凄く悲しそうな顔をしていたのに、私は嬉しくなった。





醜い自分がつくづく嫌になる。





「光凛、受付変わってもらえないかな?」




「え?」





受付の設置をしていると、愛依が突然そんなことを言ってきた。




凄く嫌がっていたのに、どうして?




「桐ヶ谷くん、受付やりたいって言い出して。先生にお願いしたら二人でも良いって言ってくれたから。だから、光凛変わって!」





必死にお願いしてくる愛依に、何も言えなくなってしまった。





だって、桐ヶ谷くんが受付やりたいなんて。





幽霊以上に面倒くさい係なのに、どうしてそんなことを?




「愛依ちゃんに変わったら、叶斗はやらないと思うよ?」




私たちの間に割って入ってきたのは、お化けの衣装なのに何故かカッコよく見える成瀬くんだった。




愛依に変わったらやらないって、どういうこと?





「え、どうして?」





可愛らしく上目遣いで言う愛依に、成瀬くんは平然と答えた。





流石だな、普通の男子なら完全にノックアウトだよ。




「叶斗は光凛ちゃんが受付やるから一緒にやりたいって言ったと思う。だから、愛依ちゃんに変わっちゃったら、今度は光凛ちゃんの相手の幽霊役に変わりたいって言うよ。そうなったら、ずっとそれの繰り返しだよ」





成瀬くんの言っていることが全然分からない。






桐ヶ谷くんの係が、何で私基準なの?





だけど愛依は分かったみたいで、ムスッとしていた。






「成瀬くん、そんなこと言わないで」