桐ヶ谷くんと愛依のことが頭から離れない。



何でこんなに二人のこと、考えちゃうんだろう。
「はぁ」



ため息を吐いても、やっぱりこの暗い気持ちは消えない。



「ため息吐くと幸せ逃げちゃうよ?」



「関係ない……」





……どうして、成瀬くんが?



女子と帰ったんだと思っていたんだけど。




っていうか、どうして私に声をかけたの?



「一人で帰るの?」




固まる私をよそに、成瀬くんはずかずかと歩み寄ってきた。




思わず一歩後ずさった。




だって、誰かに見つかったらまた何かされちゃう。



昼休みに成瀬くんが、女子たちに忠告してくれたけど、きっと見てないところで何かするつもりなんだよ。



だから、もうこれ以上成瀬くんにも桐ヶ谷くんにも関わらないようにしなくちゃ。




自分のためにも、二人のためにも。




「女の子達のことなら大丈夫だよ。昼休みに忠告したでしょ?」



成瀬くんの前で、返事しただけだよ。
本気でやめようと思っている人なんて、誰もいない。