「……分かった。一年後、無理矢理にでもお前をアメリカに行かせる。良いな?」



「ああ」



あと、一年、か。
桐ヶ谷くんとまだ一緒にいられるのは嬉しいけど、卒業したら桐ヶ谷くんとは会えなくなっちゃうんだ。
そう思うと、寂しい。






お父さんに許可をもらって、桐ヶ谷くんと二人で帰ることになった。
形は違うけど、一緒に帰るっていう昼休みの約束は果たすことができた。
でも、予想できなかった。まさか、て、手を繋ぐなんて。



「あ、あの桐ヶ谷くん。こ、告白の返事は?」



恐る恐る言うと、ため息を吐かれた。



うっ。
分かっているよ。自分でも分かり切ったこと言うなってことくらい。
でも……



「お前さ、さっきので分かんねぇの?」



「わ、分かるよ。でも……」




桐ヶ谷くんの口からはっきり聞きたい、なんて言えない。
さっきは好きとか、大好きとか、あんなにすらすら出てきたのに。
勢いに任せて言っただけだったもんな、あんなのもう二度とできない。



「綾瀬が好き。俺と付き合って」



短いけど、まっすぐな言葉。



桐ヶ谷くんのまっすぐな瞳が、嘘偽りない言葉を表しているのが分かった。



「うん!」



この想いは止められない。
きっと、離れていても繋がっているよね?お互いに、好きって気持ちがある限り、ずっと。