「これもお前のためだ。まだ間に合う。お前にあった人生を用意してやるから、それに従え」



そんなの、無理矢理すぎんだろ。
いくら何でも、それは……。



一応車の中で綾瀬にメールは送ったけど、明日も会えるって思っているんだろうな。
もう、あいつには会えないってことだよな。
こうなるんなら、仲直りなんてしなきゃ良かったのかもしれない。離れたままなら、余計なこと考えずにアメリカに行けたかもしれないのに。



俺はやっぱり親の敷かれたレールの上を走るしか、道はないのか?
自分で道を作って、自分自身で走ることはできないのか?




全部親の言う通りで、全部親の決めたもので。学校も人間関係も、好きな女も。全部親の用意したものでしか、関わることはできないのか?
そんなの、間違っているだろ。




親の人生じゃない。俺の人生だ。例え、親だろうと決められる筋合いはない。



「親父、俺……」





「桐ヶ谷くん!」






え、綾瀬?




声のした方を見たら、遠くに綾瀬の姿があった。
何で、ここに綾瀬がいるんだ?