「え?」
オムライス?突然何?
「また作って」
「で、でも……」
私より愛依の方が良いよ。
断然私より料理上手いし、オムライスなんて頬が落ちるってもんじゃない。
それに可愛い子に作ってもらった方が、嬉しいでしょ?
だから、私に頼むより愛依に頼んだ方が良いと思う。
「作って。お前のオムライスが食べたい」
さっきまで肩に預けていた頭を上げて、桐ヶ谷くんは真っすぐに私を捉える。
な、何でそんな真剣な顔して……。
「んで、あの空き教室に持ってきて。明日の昼休み。待っているから」
行っても、良いの?私またあそこに行っても良いの?
いつの間にか愛依に取られていた場所を、また私の場所にしても良いの?
勘違いしちゃうよ。私とまた一緒にいたいのかなって。自分の良い方向に考えちゃうよ。
「分かった。作ってくね」
料理をするのは好きじゃないけど、桐ヶ谷くんのためにするのは楽しいから。
好きな人が美味しそうに自分の料理を食べてくれることは、凄く嬉しい。
だから、どんな理由で桐ヶ谷くんが私に作ってと頼んで来たとしても頑張ろうって思えるんだ。