桐ヶ谷くんに限って、そんなことないと思うけど。



「まぁ、ちょっと、な」



顔を逸らしながら言う桐ヶ谷くんは、本当に高い所が苦手みたいで。
ヤバい。可愛い、かも。
絶対本人には言えないけど、高い所が苦手だなんて可愛すぎない?



「そうなんだぁ」



「お前、何でそんな嬉しそうなんだよ」



「別に?」



なんか嬉しいなぁ。
誰も知らないことを私だけが知っている感じ?
自惚れかもしれないけど、特別って感じがするんだ。




「はぁ。悪い。カッコ悪いけど、ちょっとこうさせて」



そう言って、桐ヶ谷くんは私の横に座って肩に頭を預けて来た。


え、えっと、こ、これってどういう状況?
桐ヶ谷くん、これで怖さ半減されるの?
でも、当然頭をどける気にはなれなくて。むしろ、私を頼ってくれているみたいで嬉しい。


あー、一周しなきゃ良いのに。そうすれば、ずっとこのまま……



「オムライス」