観覧車の列に並んでニ十分。ようやく私達が観覧車に乗れる時がやって来た。
「やっとかよ。マジで並びすぎだろ」
「しょうがないよ。休日は混んでいるんだもん。むしろ、ましな方」
桐ヶ谷くんはさっきから苛立ちを隠せないのか、眉間にしわを寄せている。
ゴンドラに乗る時、あまりの桐ヶ谷くんの目の鋭さに遊園地のスタッフの人も怖がっていたっけ。
「ま、別に良いけど。こうして無事に乗れたんだし」
「うん。何とか閉園までに乗れて良かったよ」
時間的に私達の次のお客さんから乗れなくなってしまった。
今から乗ったら閉園に間に合わないからって。
少し気が引けたけど、譲りたくもない。だって、桐ヶ谷くんと乗れる最初で最後の観覧車かもしれないから。
こう思っているのは私だけかもしれないけど。
「結構高いんだな、ここ」
「うん。一周十分だから結構高くまで上がるよ?」
あれ?なんか桐ヶ谷くん怖がっている?
もしかして……
「高い所苦手?」
まさかとは思うけど、高所恐怖症?