「どういうつもり?」



叶斗を光凛ちゃんの元へ向かわせた後、愛依ちゃんに言われた。



美少女には似つかわしくない鬼のような形相。
この表情、学校の男子に見せてあげたいよ。



「何が?」



からかうように笑って言うと、愛依ちゃんはもっと怒りが湧いてきたのか、更に眉間にしわを寄せた。
女の子にこんな顔されても、別に怖くないんだけどね。
学校の男子に見られてないか、そっちにヒヤヒヤするよ。俺が怒らせたなんて思われたくないし。



「あんた光凛のこと好きだったんじゃないの?それなのに、何でわざわざこっちに来て桐ヶ谷くん行かせたの?」



「好きだからだよ」



一緒に遊んでいても、光凛ちゃん叶斗のことしか考ええてないんだもん。
俺が必死に話しかけても、ずっと上の空だし。
光凛ちゃんからはっきり言われたわけじゃないけど、あの態度を見てれば一目瞭然。いくら俺が頑張ったところで、叶斗には勝てないんだよ。




「意味分かんない。好きな人のために諦めるなんて、どうかしてんじゃないの?」



見かけによらず、口悪いなぁ。
一年の時、可愛いって思っていたのはやっぱ顔だけだったか。




「君もさ、そろそろやめなよ。変なプライド抱いたって仕方ないでしょ」



そう言うと、愛依ちゃんは肩を一瞬ビクっとさせた。