「なんか分かんねぇけど光大が俺らのとこに来て、早く綾瀬のとこに行けって」
あ、帰って来なかったのはそういうこと?
でも何で?成瀬くんはどうしてそんなことを?
「くそ。助けた勢いでって思っていたのに、ムードも何もねぇじゃん」
「?」
桐ヶ谷くんの言っている意味が分からず、首を傾げる。
助けた勢いで何をしようとしていたの?
ま、まさかさっきのピアス男達と同じようなこと!?
あ、いや、それはないか。桐ヶ谷くんがそんなことするわけないよね。
「お前、どっか行きたいとこある?」
「行きたいとこ?」
どこかに連れて行こうとしているのだろうか。
悪い考えがまた頭を過る。
しつこい!絶対そんなんじゃないってば!
「勘違いすんなよ。このまま帰るのもなんか違うってだけだから。何か乗りたいものあんの?」
あ、そういうこと。
だよね。そうだよね。
うん、きっと桐ヶ谷くんなりに気を遣ってくれたんだよ。