殴りかかって来るピアス男達を、彼はあっという間にやっつけた。
ものの数分で決着はついて、勝てないと判断したのか悔しそうに去って行った。
あんなに怖かったのに、こんな一瞬でやっつけちゃうなんて、本当に凄すぎる。



「たくっ。一人で何やってんだよ」



「ご、ごめん……」



突然声をかけられて……思い出しただけであいつらに掴まれた腕や肩が震える。
あんなこと、二度と体験したくない。



でも、嬉しかった。
桐ヶ谷くんが、助けに来てくれるなんて。




「はぁ。女がこんな所で一人になんなよ」



そんなこと言われたって……。




あれ?確か桐ヶ谷くん愛依に連れられて行ったよね?
じゃあ愛依は?もしかして一人?



やばい!



「愛依の所行こう!一人じゃ危険だよ!」



私でさえ襲われそうになったんだ。愛依も狙われるに決まっている。
もしも、あのピアス男達が愛依を見つけたら、何をするか分かったもんじゃない!



「あー、藤宮なら大丈夫だよ」



「え?」



至って冷静に答える桐ヶ谷くんに、耳を疑った。
大丈夫って、何が?