「好きなら付き合っても良いと思うよ」




綾瀬の顔を見ずに、そう言った。
光大と綾瀬が抱き合っているのを見た時から、俺の入る隙なんてないって思っていた。
俺なんかより光大の方が女子のこと分かっているし、綾瀬を喜ばせることだってできる。




「じゃ、それ言いたかっただけだから」




本当は光大のとこになんか行くなって言いてぇ。
抱き締めて俺のとこに来いって、俺のこと好きになれって言って縛り付けてやりたい。




でも、できなかった。要は自信がねぇんだ。
俺を選んでくれた綾瀬を繋ぎ止めておく自信が。
ま、そんなのただの言い訳なんだけど。





フッと軽く笑った時、空が反応した気がした。