爽やかな初夏の風が頬を掠める。
私はゆっくりと目をあけた。

「んっ…」

どこかの畑だろうか、
辺りには一帯にラズベリーが植えられていた。
畑の奥には住宅街。
しかし欧風の街並みだしアスファルトもない。

「ここどこ…」

見渡す限りのラズベリー畑だが
人の気配はない。

「どうしよう…」

私の独り言だけが空に響いた。
とりあえず誰か見つけなければ。
私はのっそりと立ち上がり、畑をあとにした。