「奈々、ほんとに一人で大丈夫?図書室と言っても、特進科の子たちが居るかもしれないよ?」
「でも、仁奈は今日ピアノレッスンあるんでしょ。仕方ないよ。」
「俺もついて行きたいのは山々だけど、今日は塾だしな…悪いな。」
「気にしないでいいよ。二人ともまた明日。」
なんだかんだで、入学式の日以来私達は、三人でよくつるんでいた。
だから、二人が心配してくれるのも嬉しかった。
さて、図書室に着いたけれど、中から人の気配が感じられる。
それが、特進科なのか、普通科なのか…
それとも両方がいて凍りついてるか…
私は静かに図書室のドアを開けた。
そこには、十数人ぐらい生徒がいる。
けれど、廊下のように凍った空気感など全く無く、むしろそれが溶けている。
私はホッと胸を撫で下ろし、人の少ない机に向かう。
そして、同学年の男子二人が使っている所にたどり着く。
私は、そのうちの一人の子の隣の隣に座った。
ようするに、一つ椅子を開けて座ったのだ。
さっそく勉強始めようと、苦手な教科から開いた。
うわ、なにこれ。やばいな…わからない。
授業きちんと聞いてたはずなのに!
私は顔をしかめて、手に持っていたペンを回した。
わからなくなると、いつもやってる癖だった。