少しだけ陰のある彼女が、七色グループの沢山の人間を巻き込んで、少しずつ成長していった。
光の笑った顔。深海の期待。綾乃の信頼。
いつの日かこいつが中心に色々と回ってるのを感じて、さくらに似てる女だなと思った。
優しくてお人好しで、困っている人を見ると放っておけない。人を蹴落とす事が当たり前の世界で異質な空気を放っている所、そこが……さくらと似ているところだ。
さくらの持っていた優しさは、光の持っている優しさともまた違って……眩しかった。

人を好きになるっていう感情がいまいち分かんない。
好きになったって、誰だってそこには邪な感情が必ずあって
母親が子供に捧げるような無償なんて物は血のつながりのない俺たちの間にはなかったんじゃないか。
だから傷つけたり、失ったり、捨てたり出来る。そこで切れば、もうどこにも繋がりなんてなくなるものだから。

「ねぇ、朝日……雪だよ?」

「あぁ、何か寒いと思ったら」

「雪って、桜みたい…」

「いや、桜は花だろ」

「冬に咲く、白い花だよ」

「うげぇー、気持ち悪い事言うな。ロマンチスト気取りかよ……」

「もぉ!!朝日はロマンの欠片もないんだから!!
光はめっちゃロマンチストだよ?!」

「そりゃ光は王子様だから。俺とは生まれも育ちも違うからな……」