さくらは特別な人間だった。
だからさくらが亡くなった後も、さくらという名前は特別な物だった。
あれから、その源氏をつけたいという女が何人かいた。けれどその全てを却下した。
光や深海だって同じ気持ちだと思う。だからこそ七色グループさくらはずっと欠番状態だった。

だからあの時、新しく4店舗目のシーズンズを出した時、深海に任せた店で深海が新に新しいさくらという源氏を許した女がいた。
’さくら’お前が何故その名を選んだのかは知らない。そして、深海が何故その名前を許したのかも知らない。
1番そこに拘っていたのは光で、シーズンズの新人にさくらという名前を与えた事でちょっとした言い合いになっていたのを覚えてる。

俺はどっちでも良かった。
同じ名前だからと言って、さくらの代わりになるような人間はこの世にはいないと思っていたし、だからさくらを初めて見た時はえらく気の強そうな女だなっていう第一印象だった。
気の強い美人。背が高めで細い。可愛げがあるかないかって言われたらなさそうな雰囲気だったけど、あの初めは反対してた光が目をかけていた女だった。
さくらへの想いが変わっていったのは、徐々に。本当に少しずつ。
こんなに好きになるとは、実は夢にも思っていなかったんだ。

容姿だけで見れば、ゆりや前のさくらのが全然綺麗な女だったし
けれど一歩、一歩、近くなるたびにさくらの事が気になって行った。