結婚をしたいなんて一度も考えた事はなかった。
だって俺は幸せな家庭なんて知らなかった。
光と綾の事は兄弟だとは思っている。
けれど父親と母親に愛された記憶はない。こんな欠落してる人間が家庭なんて持つべきではない。
でもそう思う一方で、この手に出来なかった未来を俺は誰よりも求めていたのかもしれない。

「彼女、菫さんちょ~綺麗じゃん~!!あんな綺麗な人逃したら勿体ないよ!!」

「結婚なんて全然考えてねぇな。
それよりお前が早く光と結婚しちまえ…」

「光とは…結婚なんてしないよ!!
それにあたしはキャバ嬢としてこれから沢山働くんだも~ん!!
朝日だって新店出してってこれからめっちゃ忙しくなるじゃんか!!あたしがいなかったらお店成り立たないでしょ?」

「へっ、別にお前ひとりいなくなったくらいで潰れるような店じゃねぇよ!早く結婚しちまえ!」

「もぉ~!朝日はむかつくなぁ~!!
ねぇでもこれからいっぱい系列店出していくつもりなんでしょ?!」

「まぁな、調子も良いし何店舗か出したいな」

「会社にするつもりなんでしょ?!なんてグループ名にするの~?!」

「何かこうかっこいいのがいいな」

「七色グループってどう?」

「はぁ?だせー!!」

「もぉ朝日は本当に口が悪いなぁ!!かっちょいいじゃん~!!
会社をやるのなら1店舗2店舗とは言わずに目標はでっかくだよ!!
目指せ7店舗!ラッキーセブンだし超縁起良いじゃんか~!!
ねぇねぇ七色グループ決定ね!!」