ONEの売り上げも伸びて行って、新店を出そうかと話が出始めた頃だった。


「ねぇ、朝日は結婚しないの?」

「はぁ?!結婚?!」

「うん。光と綾はドライなんだよ。結婚っていうのにリアリティーがないって言うの」

「へぇ、意外。光はお前との結婚を考えてるかとずっと思ってたよ」

「もぉ~!!そういう意味で言ったんじゃないし!!
光と綾は何となくそういう感じなの分かるけど…」

「光がか?!あいつこそ結婚とか甘い事すぐ女に言いそうなタイプだけど?」

「ううん、あたしは光と一緒にずっといるから何となく分かるんだけど…光は優しいんだけど時々すごく冷めた感じになるよ。
光の優しさって自分の何かを守るためのものなんだと思う。そんな光に夜の仕事ってすっごく似合うけどね!」

「え?!光に?!夜の仕事が?
冗談だろ。あいつはどっちかーつーと昼間に生きる人間だろ。
俺の仕事を手伝ってるのだって結構無理してるんじゃないかって気もするし」

「光は朝日と一緒に仕事して、この仕事をずっとやっていきたいって思ってると思う。
あたしから見たら、朝日の方がずっと昼っぽいけどね~」

「俺が?!また悪い冗談を
まぁ別に…居場所なんてここじゃなきゃいけねぇなんて思った事はねぇけどな
俺はただ父親に負けたくなくて自分に出来る事を始めただけだし
それがたまたま夜の世界だっただけな話だし」

「だからだよぉ!!
朝日なんて性格的に物にも人にも執着心が強いタイプだから、結婚したら奥さんとか子供とかすっごい守りそう」

「望んでもいない未来だな」