「深海うるさいなぁ~…。

あ、宮沢さん今日からまた復活するんでよろしく~!
さっそく今日から同伴行ってきまーす!」

「はいはい遅刻しないようにな」

本当に毎日が慌ただしくて、そして楽しかった。
今より小さい箱でも何かいつも笑えていたような気がした。
大きくなればなるほど嬉しかったのに、それと比例するように窮屈になっていった気がする。
人と人の関係も大きくなればなるほどこんがらがっていった気がするし、近くにいれば見えていたものも、遠くになれば見えなくなってしまったものもあった。

こいつとの関係もまたそうだ。

「えーるいちゃんめっちゃ今日のドレス可愛いじゃん!!」

「え?!そう!!新しく買ったんだ~!
もぉそういうの気づいてくれるの有明くんくらいなんだから~!!」

「お、れな前髪切った?めっちゃ可愛くなってるし」

「ほんとぉ~?!ありがとう~!!」

お店に来て、女に愛想を振りまく。
いまと何ら変わっちゃいない。そうやってこの頃も女を気分良くさせて仕事をスムーズにさせるのが光の仕事だった。

「かな!あのフリーのお客さんめっちゃいい人だよ!!
かななら可愛いから絶対場内取れるから頑張ってな!!」

この頃ONEの付け回しは光がやっていて
実際俺が回すより上手くやってくれていたと思うし、キャストの女にも実際俺より光の方が信頼があったと思う。
俺は俺の出来ること。光は光の得意なことをしてくれて、お店は上手く回っていた。