「でも!さくらさん!美月は!!」

「愛ちゃん、止めなよ!!」

いつもは大人しいるなが、珍しく声を荒げていた。
不思議でたまらなかった。
何よりもふたりの態度がいつもよりよそよそしくて、おかしいと思っていた。

「どうしたの?ふたりとも何か変だよ……?」

「さくらさん…宮沢会長と付き合ってるんですよね?」

おもむろに愛が聞いてきた。
一緒に帰っていたし、出勤する事もあった。
噂だって広まっていただろうけど、一部の人にしか言っていなかったけど、誰の耳に入ってもおかしくはない状況だった。
だから愛やるな……そして美月の耳に入っていたって何ひとつ不思議な話ではなかった。

「付き合ってるって……」

「隠さなくても、結構色々な人にバレバレですよ…。それに何となく前からふたりって好き合ってるんじゃないかなーってあたしは思ってましたし
大体宮沢会長がさくらさんの事を好きだなんて何となく雰囲気で分かってた事っすよ」

「……秘密にしておく事じゃなかったし…だけど同じグループ内で働いてるなら色々と風紀とかの問題もあるから…
本当はいけない事なんだと思う。
うん。あたし宮沢さんと付き合ってるよ……でもそれって何か美月ちゃんに関係がある?
確かに美月ちゃんは朝日の事好きだったの知ってる。でもあたしも…朝日が好きなの…」

わたしの言葉に、愛は唇を噛みしめて、悲しそうな顔をする。
その後ろで、愛の服の裾を掴んだるなが、涙をこらえているのが分かった。
…何か嫌な予感がする。
でも、幸せだった日々が崩れていくのなんか、一瞬だったりするものだ。