思い出すと、胸が潰れそうなくらい苦しくなる。
ああ、これが嫉妬なんだ。
私はずっと、あの時から嫉妬していたんだなあ。
「階段下……? あ。あの時のか。いきなりあいつに階段下に引っ張っていかれて、頭にゴミがついてるからかがめって言われたんだよ」
それで屈もうとした途端キスされそうになり、咄嗟に手で防いだんだと、一ノ瀬くんはうんざりした様子で話してくれた。
「ほんと? ほんとにキスしてない?」
「してねーよ。絶対ない。つーか、お前こそさっきのなんなんだよ。体育祭の時、借り物でお前連れてった奴だろ、あいつ」
「ああ、山田のこと?」
「あの借り物、俺がお前を連れていく予定だったのに……」
「え? 何か言った?」
「言ってねえよ! で、やっぱさっきの告白だったわけ? なんて返事したんだよ。俺の告白の返事だって聞いてねぇし」