落ちこみそうになったけど、そんな私の肩を守るように抱き寄せてくれる腕があった。
「よく見ろよ。佐倉は可愛いだろうが」
「い、一ノ瀬くん……」
「言っとくけどな、こいつは寝顔も可愛いんだぞ。赤ちゃんみたいな無防備な顔して寝るんだからな」
「一ノ瀬くん!? いつの間に私の寝顔なんて見たの!?」
「あ。しまった」
「しまったじゃないよ! いつ! いつ見たの!?」
「夜中にこっそり……」
うそでしょ?
部屋にこっそり来て、私の寝顔を見てたってこと?
「なんでそんなことするわけ! 絶対私、変な顔してた!」
「してねぇって。可愛い寝顔っつっただろ。つーかお前だって毎朝俺の寝顔見に来てただろうが」
「私は見に行ってたんじゃなくて、起こしに行ってたんですぅ!」
「うそつけ。俺は自分で起きれるっつったのに、俺の寝顔が見たくて起こしに来てたくせに」