「だ、だって。こういうのは勢いが大事って思って」

「わかった。わかったからちょっと待て。続きは俺に言わせてくれ、頼むから」


どーどーと馬にするみたいに言われムッとする。

だから、言い方! そういうとこが感じ悪いって思われるの!


怒ろうとしたのに、突然一ノ瀬くんが真面目な顔になって一歩距離と詰めてきたから文句が引っこんだ。


ち、近い。近い近い。

何? なんなの!?


慌てて一歩下がろうとしたのに、その前に伸びてきた長い指があごに添えられ、上を向かされた。

その次の瞬間には、整った一ノ瀬くんの顔が、まつ毛がぶつかりそうなほどすぐ傍にあった。


唇に訪れた柔らかな感触に、頭が真っ白になる。


目をつぶることさえできない私を、一ノ瀬くんが笑った気がした。



「……好きだ、佐倉。俺の彼女になって」