「あんなに優しくしてもらって、助けてもらって、守ってもらって、なんか特別になれたような気になっちゃって……」


一ノ瀬くんにはもらってばかりで、私全然返せていないけど。

なんにも返せていないけど。


大きく息を吸い込んだ。

よし、行け、私。

覚悟を決めろ。



「私、一ノ瀬くんのこと、す――」

「ストップ!」


私の一世一代の告白は、いままさに好きと言おうとしていた相手に遮られてしまった。

大きな手が私の口を塞いでいる。


なんで止めるの! そんなに私のことが嫌いですか!


そう言おうと一ノ瀬くんを見て、驚いた。

彼のいつも澄ましたような顔が、真っ赤に染まっていたから。



「ったく、いきなりすぎなんだよお前は。助走もなしでジャンプすんなよ。びっくりするだろうが」