「なんで?」




母の口から出たなんでは、冷たくて伊知がちょっとだけ震える。




「だって、お兄ちゃん怪我したもん。私見てたもん。お母さんが、怪我させたの。」




「そんなの皿が割れただけじゃない。バスケなんてやってるのに、こういう肝心な時に避けられないなんて、どうかしてる。」




いや、どうかしてるのはあんただよ。




「確かに避けられなかったのは俺が悪いかもね。だからと言って、あの時言ったことが間違いなんて思わないけど。」




響樹が言い返すと、母がまた怒り狂う。




「はぁっ!?まだその話するの!?ねちねちねちねち、ほんとにうるさいなぁ!!お前の父親そっくりだよ!!」




「俺はお前なんかのDNAあるのかって思ったら最悪だけど。」




「なんですって!?」




このままだといつもと同じになると思って、私は口を挟んだ。




「2人ともやめて。今日はそういうことじゃないでしょ。」




お母さんは怒ったまま私を睨む。