「あぁ、まぁね。、、、、、、父親はいつも九時頃に帰ってくるよ。母親は離婚したからいない。」




あっ、





やっちゃったかも。




「ご、めん。変なこと聞いた。」




やばいやばい。




こういうのは考えてから聞かないと。




「いや、大丈夫だよ?3年ぐらい前だし。なんか、3年も経つと母親の顔とかぼんやりとしか思い出せないよね。」




遠くを見つめて、思い出すように目を動かすけど、




なんだか、その姿が迷子になった小さな男の子みたいで、、、、




私はそっと伽斗の頭に手をのせて、優しく撫でた。




「ん?なに?」




「変な風に思わないでね?離婚のことで可愛そうなんて、寂しそうなんて、そういう同情じゃないから。伽斗の具合が悪いからしてるの。」




昔から、私の記憶の中に忘れられない感触がある。





「風邪ひいた時とか、寝込んでいる時ね、お母さんが仕事行く前にこうやって頭を撫でてくれたの。いつも仕事1番っていうか、母親の優しさなんてない人なんだけど、こういう時だけ優しく撫でてくれたの。それがなんか、涙でそうなくらい嬉しくて。」