愛してるから、私を忘れて。




胸が・・・、痛いな。


「ほらぁ、やっぱりあんたは最低なんだ。」


「くずくず。」


「死んだらぁ~。」


死・・・。


その言葉を聞いて、私の何かがキレた。


「死ぬから。死んでしまうから私は桜や優くんにああ言ったの!死が目の前にある人だっているんだよ!?その人の事を考えなよ!!」


「え、な、何こいつ・・・。」


急に私が切れたので、動揺しているリーダー。





「軽々しく死ねとか、言うなっ!!」


そう言って、私はその場を去った。


更衣室に行って、服を着替えた。


「びしょびしょにしやがって。」


今もまだ、少しキレている私は濡れている服を床に投げつけた。


「なんで・・・?」


どうして私がこんな目に合わないといけないの?


「こんな、こんな塊さえなかったら・・・っ!!」


そう叫びながら、私は泣き叫ぶ。





「優くんも、桜も。沢山傷つけて。サイテーだよ。私は。」


こんな腫瘍さえなければ、私はずっと幸せだったのに・・・。


「もう、嫌だよ・・・。」


静かに泣きながら、そう呟いた。


【菜花side】


私が死ぬまで、あと2日。


「お母さん、おはよう。」


「おはよう。菜花。今日のお弁当は唐揚げよ~。」


楽しそうにそう言うお母さん。


でも、目は赤く瞼は少し腫れている。


ごめんね。


お母さん。


無理させちゃって。


胸がズキリど痛むけど、私は知らない顔をして家を出た。


「行ってきまーす。」


「いってらっしゃい。気を付けてね~。」


キッチンから聞こえるお母さんの声。





この声を聴くのも、明日で最後か。


私は明日、死ぬんだな。


そう思いながら学校に着いた。


教室に行くと、皆から冷たい目を向けられる。


ま、そりゃそうだよね。


社交的な桜は、もう新しいグループに馴染んでる。


それで・・・、いいんだよ。


桜。


私を忘れてね。


優くんは、友達と楽しそうに話しているけど、時々悲しそうな顔をする。


私のせいなんだろうな。





優くんも、もう私を忘れていいんだよ。


他の女の子と、幸せになっていいんだよ。


・・・なんて、上辺で思っていてもやっぱり辛いな。


私から別れを切り出したのに、優くんをずっと好きだからな。


授業が始まった。


あっという間に終わったよ。


悲しかった。


もう、終わりなんだって。


家に帰ると、涙が出て来た。


必死に泣き止もうとするけど涙は止まらない。


お母さんが部屋に入って来た。




「菜花・・・。」


「っ、おかあさん・・・っ。」


お母さんは私に抱き着いてきた。


「菜花の前では・・・、泣かない、ようにしてきたのにね・・・。」


「うっ・・・、ふぅ・・・っ。」


「ごめんね。こんなふうに産んじゃって。ごめんなさいね・・・。」


「ちが、う・・・。うれ、しかったよ。お母さんの、こ、どもでいられて・・・。」


「私がずっと泣いていたの、気付いていたでしょ?でも、それを言わないでいてくれて助かったわ。あの時、何かを言われたら、本当に壊れてしまいそうで・・・。」





「でもね・・・、大丈夫よ・・・。菜花がいなくても、お母さんは・・・、元気でいるよ・・・。」


「お母さん・・・っ。」


「大好きよ・・・。愛してる。私のとてもとても大切な宝物よ・・・。」


「私も・・・、お母さんが大好き・・・。産んでくれて・・・、育ててくれてありがとう・・・。」


「ありがとうなんて・・・、お母さんの言葉よ・・・。私を、お母さんにしてくれてありがとう・・・。」


それから、私とお母さんは抱き合いながら涙を流した。





お母さんが夕飯の支度で、1階に降りた。


その時、私は思いついた。


お母さんや優くん、桜に手紙を書こう。


優くんと桜は、読んでくれるか分からないけど書いてみよう。


もし、優くんと桜が今でも私の事が好きでいてくれたなら、お母さんに渡してもらおう。


そう思い、皆に手紙を書く。


書き終わったのは、1時間後くらいだった。


それを引き出しの中に入れて、私は1階に降りた。