もう翼とツノを出しても大丈夫なのに、龍は、家に入ってもまだ人間の姿のままだ。




「?」




いつもなら待ってましたかのように翼広げるのに。


今日はどうしたんだろ?


忘れてる……?


な、わけないよね。




「唯、今日変なことなかったか」


「え?う、うん」




龍の後ろ姿をじっと見ていると、龍はくるっと振り返って私に尋ねてきた。


私は、「何がだろう?」と思いながら、とりあえずうなずいておく。




「……あいつ」


「ん?」


「柳。あいつに、近づかれてないか?」


「えっ」




龍からの質問に、ビクッと肩を跳ねさせてしまった私。




やばい。


龍には柳くんから告白されたこと言ってないのに……。


龍に柳くんとのことバレるのは、ちょっと恥ずかしい。


私なんかが告白されたなんて知ったら、どう思われるかわかんないし……。


「こんな奴が?」って、思われかねない……!


少なくとも私は自分で「こんな奴が告白されるなんて」って思ってるんだから!