照平は強い口調でそう言った。


恐れも悲しみも少しも感じさせない口調だ。


「願いは聞き届けられた。けれど、悪魔はそれ以降も成長する。父親はわが子に跡形もなく食い殺され、街の人々も犠牲になっていった」


そこまで言い照平は言葉を切った。


「俺の父親は許されないことをした。だけど、この日記には悪魔をの弱点が書かれてたんだ!」


その言葉に、ソレがたじろいたのがわかった。


わずかに手の力が緩んだ。


「ごめんね」


あたしは小さな声でそう言うと、ソレの手に思いっきり噛みついた。


不意を突かれたソレが鳥の悲鳴のような声を上げてあたしを振り落とす。


2メートルほどの高さから地面へと叩きつけられて、一瞬息ができなかった。


だけど幸いにもここは土の上。


どうにか体を起こす事ができた。