走りながら振り向くと、ソレが音もなく追いかけてきているのがわかった。


とてもあたしたちの足の速さじゃ逃げきれない。


ソレはどんどん距離を縮めて来る。


ほんの数歩歩くだけで、捕まる距離にいる。


それは夢に出て来た光景そのものだった。


次々と食べられるクラスメートたち。


こんなの逃げ切れるワケがない。


ソレは街中の人間全部を食い尽くしてしまうだろう。


その瞬間、なぎ倒された木に躓きあたしは顔面からコケていた。


あちこちをすりむき、ヒリヒリとした痛みを感じる。


「友里!!」


前を走っていた透と梓が立ち止まる。