「なんだあれは……」


透が唖然とした声をあげる。


どうにか顔をあげてみると、3メートルはありそうな黒い影があたしたちを見下ろしていたのだ。


「あ……夢に出て来た化け物に似てる」


そう呟いた時、影が大きく口を開けた。


鋭い牙がこちらへ向けられているのがわかった。


「お母ちゃん」


化け物が言う。


「やばい、逃げるぞ!!」


透が叫び声を上げて駆け出した。


あたしと梓も慌ててその後を追い掛ける。


あれが悪魔?


あたしが産んだ子?