足元に気を付けながら前進すると、ようやく木々が開けて広間が現れた。


「あっ……」


中央に見える瓦礫に思わず声が漏れた。


1度目に来たとき、ここには祠がった。


しかし、2度目に来たときはなくなっていた。


そして3度目の今は……。


祠は確かに存在した。


しかし、ボロボロに破損した状態だったのだ。


「ここに悪魔がいたのか……」


祠の前に立ち、透が呟く。


「うん。でも祠が壊れてる……」


あたしはそう返事をした。


感染症が流行った時代は今から千年も昔なのだ。


祠が壊れていてもおかしくはなかった。